診療対象動物別の病気
犬の主な病気
皮膚疾患
犬は皮膚の弱い動物で、皮膚に赤いぶつぶつ(丘疹)ができたり、フケが増えたり、毛が抜けたりトラブルは様々です。
これらの症状を示す皮膚病は、寄生虫や、細菌やカビが原因の感染性皮膚炎、アトピー、ホルモン異常による皮膚炎などが考えられます。また全身の影響が皮膚に出ることもあります。
たかが皮膚、されど皮膚。皮膚は腸の機能の写し鏡とも言われています。腸の機能低下から様々な皮膚疾患が出るケースも多数経験しております。当院では、生活習慣から食生活、スキンケアまで含めた皮膚科治療を行っております。
根気が必要とされることが多い皮膚病ですが、病院での治療だけでなく、飼い主様と協力してケアすることで改善率を高める事ができます。
その子その子にあわせたオーダーメイドの皮膚科治療を目指しています。
耳の疾患
耳の疾患の中で、特に多いのが外耳炎です。
この病気は耳道内の洗浄と点耳薬による治療で改善することが多いのですが、再発したり、慢性化し難治性外耳炎へと進行してしまうこともあります。
最近は点耳薬にも、長期持続型のものが登場し、ご家庭で耳を触れない子でも、効果的な治療が可能となりました。
耳の汚れが目立つようになったり、頭を振ったり、耳をかゆがるようになるなどの症状が見られたら早めにご相談ください。
消化器系の疾患
消化器系疾患は、多くの犬が患う病気です。細菌感染や寄生虫感染、食事による腸炎も多く認められます。
幼少期は異物の誤食(おもちゃなどを食べてしまう)、中年齢以降では膵炎や胆嚢疾患、高齢になると慢性的な難治性腸炎や腫瘍などが多く、嘔吐や下痢、脱水、食欲不振などの症状が表れます。
歯周病
犬が虫歯になることはほとんどありませんが、3歳以上の犬の80%が歯周病だと言われています。
症状は、目で見てわかる歯石の他にも歯周病から不快感がでたり、口臭が強くなることが特徴です。
悪化すると顎の骨まで感染が進行し、顎の骨折や全身への菌の波及が起こり、肺炎や心臓病、腎臓病を引き起こすとも言われています。たかが歯周病ですが、命に係わることもあるので注意が必要です。
当院では、歯周病の重症度判定のための歯周病菌検査をはじめ、歯石除去、ポリッシング(研磨)、抜歯などの処置、歯石除去後の定期的な院内歯磨きなど、歯周病のケアに力を入れています。
また、デンタルケアに有効とされる伝医水(家庭用はアニマルウォーター)の取り扱い代理店でもあります。
特殊な機械で電気を負荷したお水を飲ませることで、歯みがきが難しいペット、老齢で全身麻酔下での歯石除去が出来ない子もデンタルケアすることが出来ます。
目の病気
犬は犬種によっては目の病気になりやすく、まつげの一部が目に刺さって炎症を起こしたり、遺伝的な理由で若い犬でも白内障や緑内障を発症することがあります。
特に目が大きく、前に飛び出している犬種は眼球を傷つけたり、細菌などに感染しやすくなります。
緑内障の診断には欠かせない眼圧計を備えております。
猫の主な病気
慢性腎臓病(慢性腎不全)
猫は腎臓病を患いやすく、加齢と共に腎機能が低下します。
腎臓病の初期には水をたくさん飲んだり、尿量が増えるなど、尿に関連した変化がみられます。
進行すると食欲不振や体重減少、嘔吐、けいれん発作など、全身的な症状を示すようになります。
若い元気なうちから、腎機能検査を定期的に受け、早期発見早期治療を心がけましょう。
慢性腎臓病の治療では食事療法が重大な役割を果たします。様々なメーカーの腎臓病食、サプリメントも各種取り揃えております。
ご自宅での皮下点滴指導も行っております。
ウイルス感染症(猫エイズ・白血病・猫伝染性腹膜炎)
猫は、犬と比べてウイルス性感染症が多く見られます。
特に「猫エイズ」「猫白血病」「猫伝染性腹膜炎」は、根本的な治療はなく発症すると命に関わる恐ろしい病気です。
血液検査を行うことで、感染の有無が容易に判定できます。外に出る猫、ケンカをする猫は定期的に検査を受けましょう。
感染してしまったからと言って諦める必要はありません。発症を極力抑えるべく、インターフェロン療法や免疫サプリメントなど、体力を落とさない治療をしながら発症せず寿命を全うできた子もいます。院長石田の愛猫もエイズキャリアの子がおります。日常の体調を注意深く観察し、余分なストレスをかけず、キャリアのまま過ごせるよう見守ることが飼主としてできる事だと思います。
歯周病
歯周病は犬と同様に猫にも多く見られます。また、犬とは異なり難治性の口内炎や歯周病が多いことも知られています。
猫は歯みがきが困難なことが多いですが、デンタルケアや先出の伝医水などで歯周病の進行を遅らせることが可能です。
歯石や歯周病が重度な場合や、吸収歯病巣といって歯が溶ける症状が出ている場合は抜歯が必要となることも多いです。
小動物の代表的な病気
ウサギによくある病気
生殖器疾患(子宮疾患・精巣疾患)
ウサギは高齢になると生殖器疾患の発症率が高まり、子宮疾患の発生頻度は増加します。
特に内膜過形成・癌・筋腫・水腫などが多く、初期症状は見られないため発見が遅れがちになります。
進行すると血尿や精巣の腫れなどが生じ、重症化してからご来院されるケースも少なくありません。
また、老齢になってからの手術はリスクも高くなります。
これらの疾患は若いうち(約2才まで)に不妊・去勢手術を済ませておけば予防をすることができます。
当院では、体重1kg程度のウサギでも去勢・避妊手術が可能です。ご相談ください。
不正咬合
ウサギの歯は人間の歯と違い一生伸び続けます。そして、ラビットフード主体の顎を使わない食事、ケージバイト(金属の柵をかじる)などが不正咬合の原因となります。
そのため奥歯が正常に噛み合わなくなったり、前歯が伸びて口腔内を傷つけたりするなどお口の中で様々なトラブルを起こしてきます。
食欲低下、ごはんを食べにくそうにしている、口を前脚でこする、よだれが多い、などの異変に気づいたらご相談ください。
スナッフル
スナッフルとは副鼻腔炎や気管支炎など上部気道で起こる症状の総称です。
症状は、頻繁なくしゃみ、鼻水、目やになど。
鼻がつまって呼吸がしにくくなるため、食欲が低下することもあります。治療が遅れると肺炎などを起こし死亡することもあります。
目ヤニやくしゃみに気付いたら早期治療をおすすめします。
泌尿器疾患(尿路結石症)
尿路結石とは腎臓、膀胱や尿道などに結石ができる病気です。
発症すると頻尿や排尿困難などの排尿障害を引き起こすほか、結石が粘膜を刺激して膀胱や尿道などが炎症して、血尿が出ることがあります。
結石により尿道が塞がれてしまうと、排尿時にいきむ動作をするようになります。水分不足の食事、過剰なミネラル摂取などが原因となります。
カルシウムを制限したウサギ専用の処方食もあります。
ハムスターによくある病気
皮膚病
不潔な飼育環境、寄生虫、アレルギーを起こしやすい床材などが要因となり、皮膚病にかかることがあります。
主な症状は、かゆみ、発赤、脱毛など。
当院ではまず皮膚病が起こっている原因を追究したうえで、治療を行うようこころがけています。
下痢
細菌・ウイルス、原虫などの感染により、下痢を起こす場合があります。特にお迎えしたばかりのハムスターや老齢のハムスターでは下痢が命取りになることもあるので注意が必要です。
老齢の子では内臓疾患や腫瘍が原因で起こることもあるため、異変に気づいたらすぐに受診をしましょう。
腫瘍
ハムスターは腫瘍ができやすい動物です。
腫瘍が良性か悪性かによって治療方法は異なりますが、実際には摘出できる腫瘍の方が少なく、経過を観察せざるを得ないことも多々あります。当院では免疫のサプリメントなどを組み合わせ、身体に負担の無い腫瘍治療を目指しています。
フェレットによくある病気
インスリノーマ
インスリノーマとは、膵臓のインスリン分泌細胞で起こる腫瘍で、フェレットの低血糖症とも呼ばれる病気です。
低血糖を起こすと「ぐったりしている」「昏睡状態になっている」「よだれが出ている」「ガクガクと震えている」などの症状が現れます。根本治療は腫瘍を取り除く手術になりますが、対症療法としてステロイドの投薬で症状を抑える方法が一般的です。
リンパ腫
フェレットのリンパ腫は肝臓や膵臓など様々な部位で発症し、加齢とともに増加傾向にあります。
食欲低下、体重減少、下痢、呼吸困難、歩行異常などの症状が現れますが、原因ははっきりわかっていません。
異物の誤飲
好奇心旺盛なフェレットでは、異物の誤飲がしばしば起こります。特にゴム製品やジョイントマットには注意が必要です。
胃に留まっているうちは強い症状はみられませんが、腸閉塞をおこすと重度の脱水やショック状態に陥ることがあります。
手術が必要となることも多いので、誤食が疑われた場合には放置せず、早めの受診をおすすめします。
小鳥のよくある病気
メガバクテリア感染症
購入してきたヒナの半数以上で感染が認められる真菌(カビ)の感染症です。感染当初は元気で症状もないため、数年たって感染が重度になり発症した時には手遅れになっていることも多々あります。下痢、嘔吐、あくび、消化不良などの症状が一般的ですが、突然死することもあります。
ヒナを迎えたら、まずは複数回の便の検査をお勧めします。軽症なうち、症状が出ていないうちなら治療も容易です。
メガバクテリアはカビの一種なので抗真菌剤を用いた治療を行います。再発を防ぐため、数カ月治療し続ける必要があります。
皮膚疾患
疥癬:トリヒゼンダニが原因で起こる皮膚の病気です。
主に口角から起こり、徐々にくちばし、顔面、脚全体へと広がります。飼い始めて数年たって症状が出ることもあるので、発症は飼ったばかりとは限りません。鳥同士での感染もするので、環境汚染にも注意が必要です。
自咬症・毛引き症
発情関連疾患
ペットとして飼われる鳥は発情関連疾患が多く認められます。相手が居なくても鏡やおもちゃ、止まり木、飼い主などに発情して様々な症状が現れます。
いずれも、日照時間の調整、過剰に構いすぎない等、飼い主の努力も必要となります。
卵詰まり(卵塞):卵が産道で詰まる病気です。腹部の膨満、痛み、食欲低下などの症状が現れます。過剰発情や、運動不足、Ca不足などが原因で起こり、産卵日・産卵中によく起こるので要注意です。卵をうまく出せないと命を落とすこともあります。
黄色脂肪症・腹壁ヘルニア:過剰な発情が続くことで発症するメス特有の病気です。下腹部が腫れ、薄くなった腹壁が破れて腸が皮下に脱出してきます。根本治療は手術となりますが、ホルモン抑制薬で内科的に治療することが多いです。
精巣腫瘍:オスのホルモン異常が原因となって精巣が腫瘍化することで、腹腔内の臓器圧迫による様々な症状を起こします。代表的なのが神経圧迫による足の跛行です。