コラム
正しく知ろう!猫の白血病
猫白血病は、血液中の白血球をがん化させてしまうことにより、免疫力の低下を招き、貧血や腎臓病、リンパ腫を併発するという怖いイメージのある病気。しかし、感染したとしても治るネコちゃんがたくさんいるのも事実です。
治るか治らないかという分岐点は年齢。
生まれてすぐ感染すると完治は難しいですが、離乳期をすぎて感染した場合、約50%のネコちゃんは治ると言われています。
年齢を重ねるごとに発病の危険性は低下していきます。白血病を正しく恐れるために、正しい知識を身につけましょう。
猫白血病のウイルスとは
ネコちゃんが若い時に感染しやすいのが猫白血病。ウイルスは血液以外にも唾液や鼻汁に排出されるので、噛み傷ができるようなケンカだけでなく、グルーミングや同じお皿からフードを食べることで感染が広がります。
体内にウイルスが侵入しても、体力があれば免疫系が撃退してくれます。撃退されなかった場合、ウイルスはリンパ節内で増殖して全身に広がり、骨髄でウイルスが増殖する持続感染となります。
持続感染というのは、ウイルスが骨髄のなかで増殖する状態。他にもウイルスが免疫系により完全に排除されていないけれど、ウイルスの増殖は抑えられている潜伏感染という状態もあります。この場合でもストレスや体力の低下などで免疫が低下するとウイルスが活性化して悪さを始めるので、注意が必要です。
猫白血病の予防
この病気にはワクチンが重症化対策として有効ですが、感染を完璧に予防してくれる訳ではありません。なお、猫白血病のワクチン接種には事前にウイルス検査が必要。このワクチンは感染確率を下げたり、重症化を抑える効果が認められています。しかし、発症を抑えたり、進行を遅らせるといった効果はないので、ウイルス検査の結果、陽性の場合は接種しません。それは接種箇所に肉腫ができるなど副反応が起こる可能性があるから。獣医師としっかり相談した上でどうするか決めましょう。
先住ネコちゃんがいて、保護したりして新しいネコちゃんを家族に迎える時は、どちらのネコちゃんも必ず検査を受けるようにしましょう。先住ネコちゃんが未接種の場合は、早めに受けましょう。なぜなら、このウイルスはグルーミングといった軽い接触でも伝染る可能性があるからです。どちらかの感染がわかったら、部屋を別にしたりといった隔離が必要です。
完全室内飼いにすることも効果的な予防法。感染したネコちゃんとのグルーミングやケンカといった接触が感染経路です。外を自由に行き来できる環境は、ネコちゃんにとって魅力的かもしれません。でも、病気の感染という視点から見ると非常に危険。愛猫のライフスタイルや性格などをよくわかってくれている獣医師からのアドバイスを参考に対処法を判断していきましょう。
どんな症状があらわれるの?
猫白血病では、ウイルスが骨髄に悪さをして異常な白血球が作られ始めます。すると免疫系が力を発揮できなくなって、元気な時ならなんの問題もないような弱い細菌やウイルスからの攻撃も防ぐことができなくなります。
白血病と併発するのがリンパ腫。猫白血病が発症すると、リンパ腫になる可能性が格段に上がります。消化器型リンパ腫の場合は下痢や嘔吐、縦隔型リンパ腫だと胸水が溜まって呼吸困難や咳といった症状が出ます。湿疹や脱毛など皮膚に症状が出る場合もあります。重症化していくと食欲がなくなってガリガリに痩せていきます。
血液はウイルスが増殖する骨髄で作られるため、症状が進むと貧血が起こります。そして、とてもよく見られるのが口内炎の発症。よだれが増えたり、口臭がきつくなったり、口のなかが痛くて食べられないため、当然食欲は落ちていきます。
治療法は?
持続感染になったり、潜伏感染からウイルスが活性化して発症した場合に有効な治療法は現在ありません。快適に過ごして、元気いっぱいであれば、発症するまでの時間が延びると言われています。ストレスなく、たくさん食べてもらえるようにしましょう。
発症したら、それぞれのネコちゃんの抗生剤の投与など症状に合わせて対処療法を展開。しかし、化学療法は副作用も多く長期治療になり、費用もかさみます。動物病院からの説明をしっかり聞いて判断していきましょう。
ネコちゃんの幸せのために
免疫不全やリンパ腫といった症状をともなった「不治の病」という怖いイメージのある猫白血病。それが自然と治ってしまう子もいるというのは意外だったのではないでしょうか。でも、うちの子は大丈夫と過信してしまうのは危険です。実際、ほんとに感染していないのかをウイルス検査してみることから始めることをおすすめします。
アニモ動物クリニック
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